学校長挨拶

  海上保安官は、海の上や船の中で事件が発生すれば捜査をし、犯人を逮捕しますし、船で火災が発生すれば消火活動を行います。また海難事故による遭難者や船で発生した急病人の救助にもあたります。このような「海の警察と消防」といった役割を担う仕事もありますし、それ以外にも重要な仕事が多々あります。例えば船の安全な運航のために必要な情報の提供や混雑する海域での船舶交通の管制、灯台などの航路標識の保守・運用、あるいは海底の調査や海の地図である海図の作成等、海の安全に関する様々な仕事を行っています。
  海上保安学校は、こうした海上保安業務に必要な知識・技能を教授し、あわせて心身の錬成を図ることを目的に、昭和26年4月、穏やかに潮香るここ舞鶴の地に開校しました。以来、海上保安庁創設時からの伝統である「正義仁愛」の精神の下、歴代教職員が学生教育に心血を注いで参りました。教職員の多くは、現場経験のある海上保安官であり、授業のみならず学生生活においても、職場の先輩として暖かく親身になり指導にあたっています。一昨年には開校70周年の節目を迎えたところであり、これまでに第一線で活躍する約2万人の海上保安官を送り出しています。
  本校を巣立った卒業生は、それぞれの専攻や希望に応じて、全国各地の巡視船艇・航空機はもとより、本庁(東京)や管区海上保安本部(全国11か所)、あるいは海上保安部署や海上交通センター等の様々な配置・分野で活躍しています。現場赴任後は、「海猿」として知られる潜水士、高い語学能力を駆使して活躍する国際捜査官等、特定のスキルを磨くことでより専門的な業務のスペシャリストを目指す選択肢もあれば、一定の現場経験と選抜試験を経て海上保安大学校の特修科に進み幹部職員となる道も開けています。こういった私自身も海上保安学校卒業生です。
  日本は四囲を海に囲まれた海洋国家で、それは少し視点を変えれば、海を介して世界と繋がっているということでもあります。その海が、私たち海上保安官の職場です。グローバルな大海原というキャンバスに、皆さんの夢を描いてみませんか?無限の可能性とチャレンジ精神溢れる若人の入学を心よりお待ちしております。

令和5年7月4日
海上保安学校長 川上 誠

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